「旧端出場水力発電所」を観て(丹副会長)


                         

     愛媛県経営者協会副会長 丹 一志

     (住友共同電力㈱ 代表取締役社長)

 

 この度、愛媛県経営者協会の副会長を拝命いたしました、住友共同電力㈱社長の丹でございます。微力ながら本協会のお役に立てるよう努めてまいりますので、宜しくご支援のほどお願いします。
 さて、この3月28日より、別子銅山、そして工業都市新居浜市の基盤づくりに大きな役割を果たした「旧端出場水力発電所」が一般公開されました。この発電所は、当時東洋一の597メートル落差の水圧鉄管を使用したこと、また、当時世界最長と言われた約20キロメートルの海底ケーブルにより四阪島製錬所まで送電を行っていたことなど、最新鋭の設備や東洋一、世界一と称された技術で、別子銅山の近代化を支える原動力となってきた大規模発電所で、明治45年に竣工し、昭和45年までの58年間にわたり発電を行ってきました。平成23年には国登録有形文化財に登録され、新居浜市にて平成30年から耐震補強等工事が進められてきました。
 ところで足元では、新型コロナ感染症はまだまだ油断はできないとはいえ、社会や経済は日常風景に戻りつつある一方、地政学リスクの増幅、急激に進む少子化・人口減少、深刻化を増す地球環境問題、そして、DX技術の驚くような進化など、急激なスピードで変化が起き続けています。これにどう対応していけばよいのか、大きな歴史的転換点を迎えているといわれる時代をそれぞれの立場で考えていくことが、この令和という時代を過ごす私達の使命なのかもしれません。そのような事を思いながら、公開された旧端出場水力発電所を観て、明治、大正、昭和の激動の時代に関わってきた先人達に暫し思いを馳せました。